ビル・カニンガム&ニューヨーク
彼(ビル)に撮られることこそが、ニューヨーカーのステータス!
80歳を超えた今もなお、自転車で街を駆け回り、50年以上にわたりニューヨークの街角でファッション・スナップを撮影し続ける、ビル・カニンガム。世界に名だたるニューヨーク・タイムズ紙の人気ファッション・コラム「ON THE STREET」と社交コラム「EVENING HOURS」を担当する名物フォトグラファーであり、ストリート・スナップの元祖的存在だ。謎に包まれたそのプライベートは、親しい業界人にも知られていない。
一年中青い作業着に身を包み、コーヒーは安ければ安いほど美味しいと言い、ニューヨーク・タイムズ紙の写真家としての客観的な立場を保つために、パーティー会場では水一杯すら口にしない。50年以上暮らしていたカーネギーホールの上のスタジオアパートの小さな部屋は、今まで撮影した全ネガフィルムが入ったキャビネットに占領されていて、簡易ベッドが置いてあるのみ。キッチンもクローゼットさえもない。仕事以外のことには全く無頓着で、頭の中はいつもファッションのことだけでいっぱいといったような質素な生活ぶりなのである。
2008年にフランス文化省から芸術文化勲章オフィシエを受勲した際のパーティーで、「私のしていることは仕事ではなく喜び」と語ったビル。自分の仕事をこよなく愛し、そしてニューヨーカーたちに愛され続けるビル・カニンガムというこの希有の人物の私生活や仕事ぶりを、温かくユーモアにあふれる視線で映し出した本作は、観る人みんなを幸せにする。
仲間と笑顔とシャンパンと素敵なお家があればいい!
人生の、最高な最後の選択
パリの郊外に住む5人は40年来の友人同士。齢を重ねて思い通りにいかないことや悩みが増えてきた今日この頃。病気が進行していることを知ったジャンヌは、人生の最期をどう過ごすか考え始めていた。記憶を失いつつある夫、アルベールのことも心配の種だ。
そんなある日、デート中に発作で倒れた友人クロードが、息子に無理やり老人ホームへ入れられるという事件が発生。独立心旺盛なジャンヌたちは、クロードを助け出し、みんなで一緒に暮らすことを決意する。さっそくお手伝いに青年を雇い入れ、みんなが一軒家に引っ越してくるが、初めての共同生活はトラブルが続出。そうこうするうちに、過去の秘密も飛び出して…。
名優たちのアンサンブルが奏でる、希望に満ちた人生賛歌
主人公を演じるのは、二度のアカデミー賞に輝く大女優ジェーン・フォンダ。40年ぶりにフランス映画に出演し「もう一作、フランス映画に出演したい」という念願を叶えた記念作だ。ジェラルディン・チャップリン、ダニエル・ブリュール、フランスの個性派名優たちも集結し、ぴったりと息のあった味わい深い演技で、笑いと涙を巻き起こす。
兄が帰ってきた、父が楽園と信じたあの国から―
1970年代初頭、帰国事業により北朝鮮へ渡った兄ソンホと、生まれた時から自由に生きてきた妹リエ、そして兄を北へ送った両親。束の間の再会は、家族それぞれの胸にどんな思いを呼び起こすのか。帰国事業に翻弄されながらも、逞しくしなやかに生きる在日コリアンの家族を描いた本作は、監督ヤン・ヨンヒが実体験をもとに書き下ろした<真実の物語>である。
兄ソンホが帰ってきた。16歳で北朝鮮に移住したソンホの、実に25年ぶりとなる帰国だった。病気治療のため特別に3か月間だけ許されたこの滞在には、見知らぬ男が監視役として同行していた。帰国を待ち望んでいたリエたち家族の間に、微妙な空気が流れ始める。 そして、かつての級友たちもソンホの帰国を待っていた。奇跡的な再会を喜び合うひととき、北朝鮮で日本の歌を歌うこともままならないソンホと、日本に残って大人になった友人たち、それぞれの複雑な思いが交錯する。 一方、治療のための検査結果は芳しくなく、担当医から3か月では責任を持って治療できないと告げられてしまう。あきらめきれず、必死で解決策を探るリエたち。そんな矢先、ソンホに一本の電話が。「明日、帰国するように」それは、本国からのあまりにも唐突な帰国命令だった―。
2012年キネマ旬報ベスト・テン日本映画第一位、主演女優賞やブルーリボン賞作品賞、主演女優賞、助演男優賞をはじめ、数々の映画賞に輝いた、すべての人々に贈る衝撃の感動作。
人生は美しさで満ちている
だけど、時々、何かが変だ…
かつては絶大なる人気を誇ったロック界のスーパースター、シャイアン。しかしなぜか、ある時を境に、一切表舞台に出ない生活を送るようになり、ダブリンの広大な邸宅で妻とひっそりと暮らしていた。そんなある日、故郷アメリカから「父危篤」の知らせが舞い込む。単身ニューヨークへと向かうが、時すでに遅し。目の前に横たわった亡骸の腕には、ナチ収容所時代の番号が刻まれていた。父にはナチSS隊員ランゲを追いつめるという宿望があったのだ。葬儀を終え、いつしかランゲを求めてアメリカ横断の旅に出たシャイアンを待ち受けるものとは―。
二度にわたりアカデミー賞主演男優賞に輝くアメリカの偉大な名優ショーン・ペンとイタリアの新しき才能パオロ・ソレンティーノが創り上げた見事な結晶 共演にフランシス・マクドーマンド、ジャド・ハーシュ、ハリー・ディーン・スタントン、本作で抜擢された新星イヴ・ヒューソン(U2ボノの愛娘)。バラエティ溢れる演技派キャストによる見事なアンサンブルや全編にちりばめられたデイヴィッド・バーン&ウィル・オールダムによる映画音楽など、見どころ満載だ。
白いままで 生きたかった
ムサンからソウルへ脱北した青年の憧れと孤独。
そして純粋さの死。 北朝鮮から幸せを求めて韓国にやってきた青年スンチョル。しかし、大都会ソウルの現実は冷たい。「125」から始まる住民登録番号で脱北者と わかると、定職にも就けない。脱北仲間が危ない仕事に手を出す中、自分を守るようにおかっぱの髪型や服装も昔のまま、不器用にポスター貼りをする日々。孤 独を癒してくれるのは、拾った白い犬だけだ。スンチョルは教会の聖歌隊で白い制服を着て歌う女性スギョンに憧れるが……。爆発寸前の鬱屈した感情、裏切り、そして衝撃的な告白。その髪を切るとき、この世界は彼を受け入れるのだろうか。
名匠イ・チャンドンに学んだ、緻密な脚本と演出力、ほとばしる新たな才能!
北から来た青年の孤独と焦燥を描き、衝撃的なエンディングで観る者を圧倒する本作は、プサン国際映画祭で初上映されるやグランプリと国際映画 批評家連盟賞の2冠を獲得。日本でも大ヒットした『息もできない』を彷彿させる受賞ラッシュで世界中の注目を集めた。製作・監督・脚本・主演の1人4役を 務めたのは、名匠イ・チャンドン監督の助監督を経て、本作で長編デビューした若き才能、パク・ジョンボム。「脱北者」という枠を超え、誰もが共感しうる出口のない現実の中でもがく青年の孤独を、胸にヒリヒリ迫るリアリズムで描く緻密な脚本と演出力。その新たなる才能の誕生を見逃すな!
世界初映像披露 ショーヴェ洞窟初映画撮影敢行!!
いまだかつて見たことのない美しきワンダーワールド
1994年に発見されたショーヴェ洞窟に広がる、美しき世界最古の壁画/p> 3万2千年前のアートと現代最先端のテクニックが共鳴する光と影のロマン。
『世界最古の洞窟壁画3D 忘れられた夢の記憶』は、世界の巨匠ヴェルナー・ヘルツォーク監督による希有な映画である。1994年南仏で発見されたショーヴェ洞窟、その奥には3万2千年前の洞窟壁画が広がっていた。フランス政府により、研究者や学者以外の入場を堅く禁じられてきたこの洞窟に、初めてヘルツォーク監督率いるスタッフが入り、3Dカメラによる撮影を敢行した。太古の絵画の驚くべき美しさと現代最先端の技術が共鳴し実現した、時空を超える夢とロマンのワンダーワールドがついに日本公開となる。
2010年トロント国際映画祭で迎えたワールドプレミア上映、翌11年特別招待されたベルリン国際映画祭で話題を集めた本作は、アメリカ公開においても、インディペンデント配給ドキュメンタリー映画2011年興収第1位、米オールタイムのドキュメンタリー映画歴代興収26位の大ヒットとなった。その後も、モスクワ映画祭、東京映画祭などで招待上映され、ニューヨーク映画批評家協会賞最優秀ドキュメンタリー作品賞を受賞。興行、作品評価ともども世界中で大成功を収めている。
人間は、本当に、進化したのか――。
それは歴史が仕組んだ遥かなるミステリー
それは、史上最もセンセーショナルな謎解き。
世界4大文明の一つ、古代エジプト文明の象徴として世界中の人々がその存在を知るギザの大ピラミッド。これは紀元前2700~2500年代に建造されたと伝えられているピラミッドの中でも最大規模を誇り、クフ王の墓として知られている。 しかし、私たちが今まで教えられ、学んできたこの常識が、すべて“嘘”だったとしたら…。
本作は、ギザの大ピラミッドに関して37年間にも渡る調査と研究を実施、6年間徹底的に検証して“真実”を導き出した物語であり、突飛な仮説に基づく夢物語ではない。検証は考古学だけにとどまらず建築・物理・地質・数学・気候学・天文学など、多方面から冷徹な科学の視点で行われ、各々の分野の第一級の専門家の数々の驚くべき証言が、これまでの常識の無理、不合理を追及し、突き崩し、まったく新たなピラミッド像を浮かび上がらせる。
人類史上最大の「嘘」を暴き、文明進化の歴史さえも覆してしまう本作の発表は、ピラミッドをめぐる学説の真偽に世界の注目が集まっている中で、強い衝撃を与えた。
ママ ぼく、生きる。
超未熟児パンダ51(ウーイー)とお母さんパンダとの切ない絆
体重わずか51グラムという世界で一番小さい超未熟児パンダとして生まれた「ウーイー」(中国語でウー=5,イー=1の意)。ここで描かれるのは、通常の1/3の大きさで、動いていることさえ不思議なか弱い命をつなげようと奔走する飼育員、明らかにされる自然界の厳しい掟、そして母と子の切ない絆。過酷な運命の中でも一生懸命に生き、そしてけなげに成長しようとするウーイーの姿からは、生きる勇気と命の大切さが伝わってきます。
中国・成都にあるパンダ研究基地で記録された膨大な映像資料からは、現代の私たちが抱える問題にも通じるパンダの生態が浮かび上がってきます。パンダの世界にも「想像妊娠」や「育児放棄」があって、子育てが出来ないお母さんパンダがいるのと同時に、自分が産んでいない仔パンダを育てる「代理母」のような存在もいるのです。そんなお母さんパンダの悩み苦しむ姿と仔パンダに示す深い絆と愛情は、強い共感と感動を呼びおこします。
驚きが悦びにかわる瞬間
フェラン・アドリアが創造するすべてが、料理界のスタンダードとなる。
伝説の厨房が今、明らかに――
料理界の革命児、フェラン・アドリア率いるシェフ達の知られざる厨房に密着した貴重なドキュメンタリー。新メニュー完成からお披露目に至る、その緻密なプロセスのすべて。
スペイン・バルセロナから高速で約2時間ほど離れたカタルーニャ地方にある三つ星レストラン「エル・ブリ」、45席しかないシートに世界中から年間200万件もの予約希望が殺到する<世界一予約のとれないレストラン>である。
カラ・モンジョイという美しく小さな入り江に面したこのレストランの厨房を仕切るのは、オーナーシェフのフェラン・アドリア。<世界でもっとも革新的なシェフ>と称され、食の世界に旋風を巻き起こし続けるカリスマだ。「常に客に驚きを提供する」という強いこだわりを持つ彼は、例えばエスプーマの開発に代表されるように、先進的な手法を模索しながらときに科学との融合も試みながら斬新なアイディアを用いて食の固定観念を打ち破ってきた。
本作は伝説のレストラン、エル・ブリの裏側にカメラが密着した貴重なドキュメンタリーだ。通常は4月初めから秋までのオープン期間を変更し、初めて7月から冬まで営業をするという新しい試みの準備過程を記録したものである。冬に旬を迎える食材を意識し、アトリエでの新しい料理の開発と研究、レストランでのクリエイティブな作業、そして新メニュー完成からお披露目に至るまで。それらの緻密なプロセスには例年以上に神経が注がれ、ただならぬ意欲に燃えている。その姿には、食に興味のある人はもちろんまったく関係のない人も驚き、興味をかき立てられるのは必至だろう。
飽くなき食への探求で生み出されるものは、料理を超えて、もはや芸術である。さぁ、エル・ブリの厨房へようこそ!
1929年、パリ。二人は出会い、時代が動き始める。
哲学界のスーパースターとミューズが出会う時
“実存主義”を世に広め、60年代には“知の巨人”として世界中の若者に大きな影響を与えた作家であり哲学界のスーパースター、ジャン=ポール・サルトル。そして著作「第二の性」でジェンダー論の基礎を作り、女性の幸福のために社会通念や偏見と闘い、自由恋愛から同性愛まで新しい愛の形を実践した作家であり哲学界のミューズ、シモーヌ・ド・ボーヴォワール。1929年、学生だった二人は、ソルボンヌ大学で運命的な出会いを果たす。そして生涯を通じて影響を与え合い、やがて世界的に有名になった二人は、“理想のカップル”と称され、1980年のサルトルの死まで“事実婚”のパートナーとして支え合った。
新しい愛のかたち、そして知られざる愛の物語
出会ってすぐにお互いの中に共通するものを見出したサルトルとボーヴォワールはすぐに惹かれあい、次第に互いに無くてはならない存在になってゆく。そんな折、サルトルはボーヴォワールに将来の愛を誓いながら他の相手との関係も認め合いその詳細を嘘偽りなく報告し合う関係を提案する。いわゆる自由恋愛による“契約結婚”である。女には結婚と独身しか選択の余地が無いという世間の因習に疑問を抱くボーヴォワールは、迷いながらもこの提案を受け入れることに。その後次々と女性と関係を持つサルトルに深く悩まされるボーヴォワールだったが、やがて苦しみぬいたボーヴォワール自らこの新しい愛のかたちを実践するようになり――。