いのちの子ども
このちいさな命を救いたい
今、命の価値を問う、世界を揺るがせた真実の物語
「命の価値とは?」「母親の愛とは?」「人間の良心とは?」。現在も続くイスラエルとパレスチナの紛争を背景に、その対立の中で翻弄される、ひとつの小さな命をめぐる物語を紡いでゆく。そして誰もが持つであろう人としての根源的な問いをあぶり出し、観る者に投げかけ、そして深い感動を呼びおこす。今「生きること」と「本当に大切なことは何か」について考えているすべての人に観て欲しい、心揺さぶる真実の物語を描いた傑作。
紛争の絶えないイスラエルとパレスチナ。余命を宣告されたパレスチナ人の赤ん坊が、封鎖されたガザ地区からイスラエルの病院に運ばれた。イスラエル人医師ソメフは、ガザ地区で20年以上取材を続けるイスラエル人テレビ記者エルダールと、民族や宗教の対立を越えて立ち上がる。その想いはただひとつ、「このちいさな命を救いたい」。しかし行く手には様々な困難と、パレスチナ人のアイデンティティと母親としての想いの間に揺れ動く母ラーイダの苦悩があった…。
きっと、また会える
在日二世の映像作家ヤン・ヨンヒが北朝鮮政府から入国禁止を言い渡されながら愛する兄と姪のソナに贈る、15年の想いを込めたメッセージ
世界中を笑顔と涙で包んだ前作『ディア・ピョンヤン』から5年。本作では帰国事業によって70年代に北朝鮮に移り住んだヤン監督の3人の兄とその子どもたち、特に姪のソナにフォーカスを合わせた。近くて遠い二つの国をつなぐ強い絆と深い愛をめぐる、可笑しくも切ない家族の物語を描いた、心に染み入るような繊細な優しさが伝わる感動作である。
愛する人たちが暮らすその地を想う時、私の心はいつも引き裂かれる
17歳の修学旅行で訪朝して以来、幾度となくピョンヤンを訪れているヤン監督。姪ソナの屈託のない笑顔と成長を温かいまなざしで見つめる一方で、70年代に “地上の楽園”とされた祖国に渡った兄たちがたどった運命とその胸に秘めた想い、そして息子を送り出しながらその後の思いもよらない状況に悔恨の念をにじませる父の心情とその病床の姿を厳しい視線で映し出す。選択の機会が与えられない社会で生まれ育ったソナと、生まれた時から自由を謳歌して育ってきた自分を重ね合わせて描かれる、ふたつの国に暮らす家族の生きざま、そこには思想や価値観の違いを超えた誰もが心の内に持っている家族への切ない想いが浮かび上がってくる。
心まで裸になれ!
愛を問い続ける、魂のカメラ
唯一無二の映像作家“ヨヨチュウ”こと代々木忠、
知られざる波乱の人生
多くの著名人や識者からも支持されるAV監督・ヨヨチュウこと代々木忠。彼の作品は単なるAVの枠を超え、心理学や社会学、そして精神医療の観点からも語られる。華道家から極道を経て映画界入りし、AV黎明期には愛染恭子の本番シリーズや「ザ・オナニー」シリーズなど数々のヒット作/問題作を連発し、一世を風靡したAV界のカリスマ。彼が様々な分野にわたる試行錯誤を繰り返す最終的な目的は、「人はどうしたら幸せになれるか?」という永遠の課題を実現する事だ。そして戦後の邦画裏面史とも言える性産業の世界を牽引した偉大なカリスマは、ひとりの夫でもあり父親でもあった。世間との軋轢、多額の借金、家族との確執…。
本作はそんな彼が送ってきた数奇な人生と作品世界、そして作品の中に込められた普遍的なメッセージを、愛染恭子、加藤鷹、村西とおる、高橋がなりなどのピンク映画~AV界の周辺人物から、笑福亭鶴瓶(落語家)、槇村さとる(漫画家)和田秀樹(精神科医)など、彼の作品、著作本を評価している著名人までの幅広い証言をもとに、一つ一つ丁寧に紐解いてゆく。また代々木忠という一人の人間に鋭く肉迫していくと同時に、そこには彼が辿り共に歩んできた時代が投影され、性産業の歴史を検証するとともに、人間の性と愛を心の内側から切り取って赤裸々に提示する。
本作は田口トモロヲが映画では初のナレーション、リリー・フランキーが題字を担当。第5回ローマ国際映画祭に正式出品され世界に衝撃を与えたドキュメンタリー作品だ。
沖縄県の 与那国島 ( よなぐにじま ) で美しい自然と共に生き、
巨大カジキを追い求めた82才の漁師の物語。
その姿は人生と向き合う勇気を教えてくれる。
82才の老人が、ひとり小舟を操り、流れの速い黒潮で巨大カジキに挑む―
日本最西端に位置する国境の島、与那国島。よく晴れた日には台湾の島影を望むことができるこの小さな南の島には、荒々しくも美しい自然と、島の人々が大切に伝え育む多様な文化、そしてゆったりと漂う時間がある。今から20年前、荒々しくも美しい自然が残る与那国島に、サバニと呼ばれる細長い小舟を操り200キロもの巨大カジキを追う老漁師がいた。島の人々に支え られ、ばあちゃんを愛して海に行き、海を愛して漁に出る。じいちゃんは長い不漁に苦しみながらも、自然への敬意と漁師の誇りを忘れず、1年後、ついにカジ キとの格闘に打ち勝った。まっすぐなじいちゃんの生き方や、自然と人間とが共存する姿から、人が生きる事の根源的な強さと豊かさがはっきりと見えてくる。
タンゴとは、愛、祖国への誇り、そして人生全てを捧げた音楽(ムジカ)。
総勢22名のタンゴマエストロが結集。伝説の一夜(ステージ)が鮮やかに甦る!
2006年、ブエノスアイレスの最も古いレコーディングスタジオで、1940年代から50年代に活躍し、アルゼンチンタンゴの黄金時代を築いたスター達が感動的な再会を果たした。彼らはアルバム「CAFE DE LOS MAESTROS」に収録する名曲を歌うためにこの場所にやって来たのだった。60~70年もの演奏歴をもち、いまなお現役で活躍する国宝級とも言えるマエストロたち。時を重ね人生の深みを増した歌声が響くなか、彼らは激動の歴史とともにアルゼンチンに脈々と生き続けてきた、タンゴの魅力と自らの思い出を語り始める。なけなしの金で父が買ってくれたバンドネオン、街角のカフェから成功の階段をともに上った仲間たち、亡き師への変わらぬ熱い思い。すべてのドラマがタンゴという3分間のドラマに刻まれていく。
そして、ミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座に並ぶ世界三大劇場のひとつであるブエノスアイレスのコロン劇場に偉大なる 巨匠 ( マエストロ ) たちが一堂に会したそのとき、奇跡のステージの幕が開き、まさにタンゴ版『ブエナビスタ・ソシアルクラブ』が誕生した!
アカデミー賞(R)受賞(『ブロークバック・マウンテン』『バベル』)の世界的音楽家グスタボ・サンタオラージャがプロデュース、エグゼクティブ・プロデューサーには『セントラル・ステーション』『モーターサイクル・ダイアリーズ』のウォルター・サレス監督を迎え、音楽と映画の最高のスタッフが作り出したタンゴ・マエストロたちの伝説の記録である。
愛を知らない男と、愛を夢見た女子高生。傷ついた二つの魂の邂逅。
偶然の出会い、それは最低最悪の出会い。でも、そこから運命が動きはじめた……。「家族」という逃れられないしがらみの中で生きてきた二人。父への怒りと憎しみを抱いて社会の底辺で生きる男サンフンと、傷ついた心をかくした勝気な女子高生ヨニ。純愛よりも切ない二人の魂の求めあいを、息苦しいまでにパワフルに描き、プサン国際映画祭でワールドプレミアされるや観客・批評家の熱狂を呼び、ロッテルダムはじめ世界の映画祭・映画賞で、25を超える賞に輝いた本作。
韓国では、主人公の運命に涙する観客が続出し、インディーズとして異例の大ヒットを記録した。2009年11月に開催された第10回東京フィルメックスでは、史上初の最優秀作品賞(グランプリ)と観客賞をダブル受賞し、日本の映画ファンに鮮烈な印象を与えた傑作がついに公開となる。
そのおいぼれ牛は、お爺さんと一緒に、30年も働き続けた。
老いた農夫と一頭の牛の暮らしを見つめた『牛の鈴音』(うしのすずおと)。ナレーションもなく大きな事件もおこらないこの静かな映画が、何と全てのドキュメンタリー 映画の記録を塗り替え、韓国映画界に奇跡をおこした!
スクリーンに映るのは、韓国の田舎の美しい四季、無愛想で頑固な老人、 口喧しいお婆さん、山のような薪を背負い働く老いた牛。それは、忘れてしまった温かいものたち。ちりん、ちりんと鳴る牛の鈴音が消えるとき、 「これを見て泣かない人は人間ではない」と地元紙が伝えた理由がきっとあなたの胸にも響く。
79歳になる農夫のチェ爺さんには、30年間もともに働いてきた牛がいる。牛の寿命は15年ほどといわれるのに、この牛は40年も生きている。今では誰もが耕作機械を使うのに、頑固なお爺さんは牛と働く。牛が食べる草のために畑に農薬をまくこともしない。そんなお爺さんに長年連れ添ってきたお婆さんは不平不満がつきない。しかし、ある日、かかりつけの獣医が「この牛は今年の冬を越すことはできないだろう」と告げる……。
天よ、運命よ。彼女を連れて行かないで。
100年の時を超えて愛される傑作オペラが、現代最高のドリーム・カップルの歌と演技で、スクリーンに永遠に刻まれる!
世界中で最も愛されるプッチーニオペラの傑作。 19世紀半ばに巨匠ヴェルディによって頂点を迎えたイタリアオペラの後継者として現れ、20世紀にかけて大人気を博した作曲家ジャコモ・プッチーニ。≪トスカ≫、≪蝶々夫人≫、完成直前に亡くなった伝説の遺作≪トゥーランドット≫―これら綺羅星の如くいならぶ名作をおさえて、最も頻繁に上演されているのが≪ラ・ボエーム≫だ。
人気、実力ともに世界最高峰のキャストが共演
欧米の公演で現在最もチケットの取りにくい“ドリーム・カップル”のふたり。“マリア・カラスの再来”というわれるアンナ・ネトレプコと“現代最高のテノール”ローランド・ビリャソンを主演に、アカデミー賞ノミネートロバート・ドーンヘルムが監督。バイエルン放送交響楽団を世界有数のオペラハウスでキャリアを積んできたベルトラン・ド・ビリーが指揮する。