「リアル」を撃ち抜く衝撃の「フィクション」
現代社会にリンクする社会派エンタテインメント
東都新聞記者・吉岡(シム・ウンギョン)のもとに、大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届いた。日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ち、ある強い思いを秘めて日本の新聞社で働いている彼女は、真相を究明すべく調査をはじめる。一方、内閣情報調査室の官僚・杉原(松坂桃李)は葛藤していた。「国民に尽くす」という信念とは裏腹に、与えられた任務は現政権に不都合なニュースのコントロール。愛する妻の出産が迫ったある日彼は、久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するのだが、その数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまう。
兄が帰ってきた、父が楽園と信じたあの国から―
1970年代初頭、帰国事業により北朝鮮へ渡った兄ソンホと、生まれた時から自由に生きてきた妹リエ、そして兄を北へ送った両親。束の間の再会は、家族それぞれの胸にどんな思いを呼び起こすのか。帰国事業に翻弄されながらも、逞しくしなやかに生きる在日コリアンの家族を描いた本作は、監督ヤン・ヨンヒが実体験をもとに書き下ろした<真実の物語>である。
兄ソンホが帰ってきた。16歳で北朝鮮に移住したソンホの、実に25年ぶりとなる帰国だった。病気治療のため特別に3か月間だけ許されたこの滞在には、見知らぬ男が監視役として同行していた。帰国を待ち望んでいたリエたち家族の間に、微妙な空気が流れ始める。 そして、かつての級友たちもソンホの帰国を待っていた。奇跡的な再会を喜び合うひととき、北朝鮮で日本の歌を歌うこともままならないソンホと、日本に残って大人になった友人たち、それぞれの複雑な思いが交錯する。 一方、治療のための検査結果は芳しくなく、担当医から3か月では責任を持って治療できないと告げられてしまう。あきらめきれず、必死で解決策を探るリエたち。そんな矢先、ソンホに一本の電話が。「明日、帰国するように」それは、本国からのあまりにも唐突な帰国命令だった―。
2012年キネマ旬報ベスト・テン日本映画第一位、主演女優賞やブルーリボン賞作品賞、主演女優賞、助演男優賞をはじめ、数々の映画賞に輝いた、すべての人々に贈る衝撃の感動作。