パンダの産室にこれほど長時間カメラが入った事自体初めてで、笑っているパンダ(リリが久しぶりに我が子ウェンリと再会し抱き上げる場面)は初めて見る人が多いでしょう。そして衝撃的な育児放棄の瞬間も、世界で初めて捉えた映像です。
元々録音技師出身の塩浜監督が4年間録りためた様々なパンダの声は、すべて実際の赤ちゃんや少年パンダ達から録ったもので、「パンダって、こんな鳴き方をするんだ!」と思わずつぶやいてしまいそうな様々な声を聞くことが出来ます。
赤ちゃんパンダの顔はよく変わります。平らのようであり、細長いようであり、丸いようであり…時期によって、また見る角度によっても、まるで違ってみえます。また白黒の模様がなぜかグレーになる子もいますが、それはあっという間に黒くなるようです。
パンダを撮影する時は当然パンダ達の時間に合わせなければなりません。彼らには人間とは別の時間が流れているのです。撮影に一番いいのは早朝ですが、それでも全く撮影出来ない時もあります。神経質なパンダは撮らせてくれない事もしばしばです。また長いマイクを嫌がるパンダが多いかと思えば、パンダ・ケーキと間違えてよだれを流すのもいます。また発情時期のパンダは、ビックリするような素早い動きを見せます。
200時間を越える映像と編集用に取り込む前の素材も合わせると、全部で300時間を超える映像を足掛け4年に渡って整理し、それを3週間で一気に3時間程度まで編集。その結果どうしても入れられなかったエピソードや、多くのキャラクターが泣く泣くカットされてしまいました。
本作には様々なカメラで撮った素材が使われ、業務機も民生機もPAL(中国の映像規格)もNTSC(日本の映像規格)も混在しているため、それを自然な繋がりにするために1フレームづつ劇場用規格の24Pに並び替えて統一。それでも16:9と4:3の画面サイズの違いが残っていますが、「様々な素材が24Pで統一されて並んでいるのは、技術進歩の縮図と異文化交流の見本を見ているようです」(監督談)。