アジアのユニークな国

これは政治的な映画ではない。
政治と社会に敏感な、
ある妻についての話である。

2025年6月28日(土)より
ポレポレ東中野にて公開

作品紹介

『友だちのパパが好き』『夜明けの夫婦』の山内ケンジ監督が送る。夫が仕事に出ている平日の昼下がり。ひとつ屋根の下では、妻は1階では介護を、2階では違法風俗を行なっている。そんなとある一家を覗いてみると見えてくる、とある国の姿とは。 ただ、わくわくする77分間。純粋社会派深刻喜劇の新作です。

あらすじ

 都内に夫と暮らし義理父の介護をしている曜子は、ある政治家が嫌い。あることがきっかけで最近自宅でよくないことを始めている。夫は気がついていない。
 しかし、隣家の主婦が気がついているようだ。

場面写真1

キャスト

鄭亜美

鄭亜美

京都出身。2007年劇団青年団に入団。その後多くの平田オリザ作・演出作品に出演。主な作品に「革命日記」「冒険王」「カガクするココロ」「ソウル市民1919」「東京ノート」など。2022年公開山内ケンジ監督長編映画「夜明けの夫婦」に主演。さらを演じる。

岩谷健司

岩谷健司

1970年2 月25日生まれ。青森県出身。山内ケンジ氏の演劇ユニット「城山羊の会」の作品に多く出演するほか、数々の舞台・映画・ドラマ・CMに出演。近年の主な出演作に、テレビ朝日 「Believe -君にかける橋-」、NHK 「未来の私にブッかまされる!?」、Netflixシリーズ「地面師たち」、映画『ラストマイル』(塚原あゆ子監督)、『新幹線大爆破』(樋口真嗣監督)などがある。

岩本えり

岩本えり

日本大学芸術学部演劇学科卒業後、竹内銃一郎氏、鴻上尚史氏、中野成樹氏、等の演出作品の参加を経て、2007年より劇団乞局に所属し2012年の解散までの全作品に出演。その他にチェルフィッチュ、ポツドール、ブス会*、MODE、城山羊の会、KUNIO、明日のアー、劇団アンパサンドなど様々な作品に参加しながら舞台を中心に活動している。クリオネ所属。

金子岳憲

金子岳憲

演劇集団ニナガワ・カンパニー・ダッシュ、劇団ハイバイを退団後、舞台を中心に映画、TV、CMなど活動の幅を広げている。近年の出演作に映画『彼方のうた』(24/杉田協士監督)、『ほつれる』(23/加藤拓也監督)、『リボルバー・リリー』(23/行定勲監督)、『春原さんのうた』(22/杉田協士監督)、『さかなの子』(22/沖田修一監督)、大河ドラマ『光る君へ』(NHK)『ももさんと7人のパパゲーノ』(NHK)など。

山内ケンジ監督

監督:山内ケンジ

劇作家・映画監督・CMディレクター
演劇では城山羊の会を主宰、
『トロワグロ』(15年)第59回岸田國士戯曲賞、
『温暖化の秋~HotAutumn』(22年)第74回読売文学賞戯曲シナリオ部門を受賞。
最新作は『平和によるうしろめたさの為の』(下北沢B1・24年)。
映画は、
『ミツコ感覚』(11年)『友だちのパパが好き』(15年)『At the terraceテラスにて』(16年)『夜明けの夫婦』(22年)、最新作は『アジアのユニークな国』(25年)。

場面写真2

応援コメント

"こいつを倒せば全て解決!"的な社会の大ボスも天罰てきめんな神様もフィクションである。だが人間は日常生活を大小様々なフィクションを使いながら暮らしていて、その継ぎ目に気づいた時に落ち込んだり、希望を持つ生き物でもあるのだ。
ダースレイダー ラッパー
これぞリアル!リアルというのは決して地味ということではない。激しいんです。大胆なんです。でもリアルなんです。笑いながら見ていたら、気づいたら泣いていました。笑いながら、絶望を見た、という感じなのです。
安藤奎 脚本家・演出家・劇団アンパサンド主宰
決してよそには口外できないひとさまの秘事を、うっかり覗き見してしまったような気まずさ。性と政治が予想だにしないかたちで入り混じる、衝撃的なおかしさ。常人には作れない、というか発想すらできない作品。
門間雄介 ライター/編集者
映画で描かれる日常は自分の日常に繋がってるようで老若男女全ての登場人物の営みに共感、感情移入して楽しみ哀しんだ。エンドロールに重なる会話に生きていく過酷を感じて俺の胸がざわざわしたので自民党のホームページを見にいった。
岡部たかし 俳優
目を背けたくなる男女の裸体とかセックスとか体毛とか。でもどういうわけか古の宗教画のように私の目に焼き付いている。そのうちどこかの教会で上映されていてもおかしくない。後世のアカデミアで人類史的な一幕だと、哲学されていてもおかしくない。「ユニーク」という言葉から、ポジティブな意味を全て奪っていった。結構好きな言葉だったことが、もはや恥ずかしい。
江本純子 劇作家
優雅さと精密さを併せ持った唯一無二の完成形『At the Terraceテラスにて』から十年。山内ケンジが何を追い求めてきたのか、やっと分かったかもしれない。それは野蛮さだ。『アジアのユニークな国』は、とてつもなく野蛮な映画だ。そしてこの野蛮さは救いだ。距離感とバランスでこの奇妙な時代をなんとか生き抜こうとしている我々にとってこの野蛮さは救いであり安らぎであり癒しだと思う。私はそう思った。とにかく見てください。
荒木伸二 映画監督
身近な人に見せられない顔、言えない本音、死んでも許さないアノヤロウ。みんなそういうドロドロしたものを抱えながらすました顔で平凡な日常を生きている。絆なんか無くても良い。惰性でつながっているぐらいがちょうどいい。
キニマンス塚本ニキ 翻訳者・ラジオパーソナリティ
観終わって18時間経つ今も続くこの『悶々』を誰かに共有して欲しい。今この時代にこの国で生きていて、幸い普通に暮らせていることの意味を考えることがあります。映画終盤の、この映画のタイトルを含んだ会話のやりとりがとても腑に落ちました(悶々としてる状態でもです)。山内さんに笑われるかもしれませんが、国境なき医師団に毎月寄付しています。アジアのユニークな国で暮らせているので、せめてもの、です。
じろう シソンヌ
この映画は「正しい」「正しくない」を問うのではなく、いま世界に充満している「過敏さ」「不安」「癒し」の循環システムを、静かにそして極限に生々しく描きぬく内容だ。極めて必見。主人公の女性が「現状打開の希求」に定めた戦略の本能的な見事さ+異様さが凄い。時代の精神的情景の記憶として、確実に観客の記憶に残り続けるだろう。
マライ・メントライン 翻訳・文筆家
あんな住宅地の一角に あんな沼のような奥さんが生息してるなんて 笑うには、あまりにも不気味すぎる
岩松了 劇作家・演出家・俳優
縁あって山内監督のお父様とは仲良くさせていただいていたが(レンチやマイナスドライバーを借りたこともある)、まさかこんな名優だったとは知らなかった。
U-zhaan タブラ奏者
セックスと同じくらい政治は個人的で日常なのだ、とのメッセージがかくも明瞭に伝わる作品を他に知らない。セックスと政治をあまり語りたがらない日本人に対する痛烈な風刺であり、最高にキュートで愛おしい快作だ
矢田部吉彦 前東京国際映画祭ディレクター

クレジット

鄭亜美

岩本えり 金子岳憲 / 岩谷健司

鈴木将一朗 泉拓磨 島田桃依 浅井浩介 波多野伶奈 

村上晴 赤刎千久子 丙次 金谷真由美 西出結 北原州真 山内政勝 

脚本・監督山内ケンジ

エグゼクティブ・プロデューサー伊達百合 プロデューサー野上信子、長井龍

撮影・編集渡部友一郎 録音・整音北原慶昭 整音杉田知之 効果ERIKA 音楽大城静乃

スタイリスト増井芳江 ヘアメイクたなかあきら(TTA)、椛澤瞳(TTA) 造形山下昇平

キャスティング山内雅子 制作進行中野有香、田中洋平、阿部人美、前島操、米田篤、前田智子

宣伝デザイン細谷麻美 イラストコーロキキョーコ

制作オーバースリープ 配給スターサンズ

2025年/日本/77分/16:9/カラー/5.1ch

※本作はR18+指定作品です。

場面写真3