PROFILE プロフィール

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「私の知的な目覚め、スピリチュアルな目覚めは、ある意味で旧石器時代の洞窟壁画と関係があったと言えます。12歳のとき、本屋のショーウィンドーに飾ってあった、ロスコー洞窟の馬の壁画が表紙になった本をみつけた私は言いようのない興奮を覚えました。この本がどうしても欲しい、どうしても手に入れたいと思ったのです。しかし、当時の私のお小遣いは1カ月たったの1ドルでした。そこで、テニスコートのボールボーイとしてアルバイトを始め、兄たちからもお金を借りました。一週間に必ず一回は、まだその本があるかどうかドキドキしながら確認しに本屋さんに行きました。なぜか、当時の私はその本が一冊しかないと思いこんでいました。 そして、半年後にようやくその本を手に入れることができ、初めてページを開いたのです。その時に感じた畏敬と驚異の念は、今でも私をとらえて離れません。」

監督:ヴェルナー・へルツォーク

img011942年9月5日西ドイツのミュンヘン生まれ。15歳で初めてシナリオを書き、ミュンヘン大学で歴史、文学、演劇を学ぶ。その後、奨学金を得てアメリカに渡り、ピッツバーグのデュケイン大学で映画とテレビの勉強をする。
62年に初の短編映画“Herakles”を完成させ、63年には自らのプロダクションを設立した。66年にドイツの映画推進理事会により30万マルクを援助され、初の長編映画『生の証明』(68)を撮った。以後は、ライナー・ヴェルダー・ファスビンダー、ヴィム・ヴェンダースらと共にニュー・ジャーマン・シネマの旗手として躍進し、『蜃気楼』(68)、『小人の饗宴』(70)など異色作を発表、『カスパー・ハウザーの謎』(74)ではカンヌ国際映画祭審査員グランプリを受賞した。
70年代に入って、個性派俳優クラウス・キンスキーと組んだコンビ作『アギーレ/神の怒り』(72)、『ノスフェラトゥ』(79)、『ヴォイツェック』(79)で話題を呼び、『フィツカラルド』(82)がカンヌ国際映画祭最優秀監督賞を受賞し、『コブラ・ヴェルデ』(88)まで5本でコラボレーションし、キンスキーの死後にはドキュメンタリー映画『キンスキー、我が最愛の敵』(99)を制作した。
その他、ドイツ映画賞作品賞を受賞した『緑のアリが夢見るところ』(84)、ティム・ロス主演作『神に選ばれし無敵の男』(01)、ニコラス・ケイジ主演作『バッド・ルーテナント』(09)、デイヴィッド・リンチ製作による『狂気の行方』(09/特・T)などのチャレンジングな意欲作を発表し続けている。一方で、初期より制作を続けているドキュメンタリー映画の分野でも名声と評価を確立しており、近年制作した『グリズリーマン』(05/T)では監督組合や全米批評家組合などのノンフィクション映画賞を受賞、“Encounters at the End of the World”では米アカデミー賞ドキュメンタリー映画賞候補に挙がり、フィクション、ノンフィクション両分野にまたがる、世界の巨匠として精力的な制作活動を見せている。 また、ハーモニー・コリン監督作『ジュリアン』(99)、『ミスター・ロンリー』(07)などで俳優としても活躍、出演最新作はトム・クルーズに対する敵役で準主演する“One Shot”が13年公開の予定。近年は、オペラの演出も多く手掛けており、97年には東京で「忠臣蔵」の演出も担当している。

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プロデューサー:エリック・ネルソン

制作会社クリエイティヴ・ディファレンスィズの代表。ドキュメンタリー映画、TVドキュメンタリーのプロデューサー、監督、脚本家として活躍。ヴェルナー・ヘルツォーク監督とは、『グリズリーマン』(05/T)、“Encounters at the End of the World”などで組んでいる。数多くのTVドキュメンタリーを制作している。

撮影:ペーター・ツァイトリンガー

1960年6月6日チェコスロヴァキアのプラハ生まれ。95年にヴェルナー・ヘルツォーク監督によるTVドキュメンタリー“Tod für fünf Stimmen”で組み、以降、“Little Dieter Needs to Fly”(98)、『キンスキー、我が最愛の敵』(99)、“Julianes Sturz in den Dschungel”(00)、『神々に選ばれし男』(01)、“Wheel of Time”(03)、『グリズリーマン』(05/T)、『戦場からの脱出』(06/V)、“Encounters at the End of the World”(07)、インディペンデント・スピリット・アワード撮影賞候補となった『バッド・ルーテナント』(09)、『狂気の行方』(09/V)、本作、“Into the Abyss”(11)と13本の共同作業を手掛けている。 仕事を始めた初期よりゲッツ・スピールマン監督とのコラボレーションが多く、ほかに『予測された喪失』(92)などのウルリッヒ・ザイドゥル監督と多く組んでいる。

音楽:エルンスト・レイスグル

1954年オランダのナールデン生まれ。8歳でチェロを弾き始める。70年代初頭より、インプロヴァイズド・ミュージック演奏を開始。80年代にはテオ・レーヴェンディ・コンソート、アムステルダム・ストリング・トリオやザ・フース・ヤンセン・セプテットのメンバーとして、90年中盤はザ・アルカド・ストリング・トリオで活躍。また、ミーシャ・メンゲルベルクズ・ICP・オーケストラのメンバーとしても活躍、ゲリー・ヘミングウェイともコラボレーションしている。ICPのメンバーであるベーシストのマイケル・ムーア、ドラマーのハン・ベニンクと、イタリアン・フェスティヴァル出演を機にザ・クルーソー・トリオと名乗るグループを組み、世界ツアーも行った。5枚目のアルバムをリリースした10周年記念後の99年に解散し、ICPオーケストラからも脱退。以降は、様々なミュージシャンと様々な形でコラボレーションしながらツアーを続けている。一方で、子供たちのためにチェロのワークショップも開いている。 映画は、2000年にオランダのドキュメンタリー映画“Ajax: Daar hoorden zij engelen zingen”で初めて映画音楽を担当。04年にヴェルナー・ヘルツォーク監督作“The White Diamond”を手掛けて、以降、“The Wild Blue Yonder”(05)、『狂気の行方』(09/V)、本作とヘルツォーク監督作を担当し、『戦場からの脱出』(06/V)では楽曲提供している。なら国際映画祭で上映されたマルタイン・マリア・スミス監督作『終わらぬ冬はない』(10/映画祭)では、オランダ映画祭最優秀音楽賞を受賞している。

編集:ジョー・ビニ

1963 年アメリカ、カリフォルニア州サンマテオ生まれ。98年にヴェルナー・ヘルツォーク監督作“Little Dieter Needs to Fly”を手掛け、以降、“Gott and die Beladenen”(99)、『キンスキー、我が最愛の敵』(99)、“Jahre Christentum Neue Welten - Hinter dem europäischen Horizont”(00)、“Pilgrimage”(01)、『神 に選ばれし無敵の男』(01)、『10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス 「失われた一万年」』(02)、“Wheel of Time”(03)、“The White Diamond”(04)、『グリズリーマン』(05/T)、“The Wild Blue Yonder”(05)、『戦場からの脱出』(06/V)、“Encounters at the End of the World”(07)、『バッド・ルーテナント』(09)、『狂気の行方』(09/V)、本作、『ハッピー・ピープル タイガで暮らす一年』(10/映画祭)、“Into the Abyss”(11)と、数多くの作品でヘルツォークとタッグを組んでいる。
また、06年の『グリズリーマン』でアメリカン・シネマ・エディターズ賞にノミネートされ、08年の“Roman Polanski: Wanted and Desired”ではサ ンダンス映画祭最優秀ドキュメンタリー作品編集賞とエミー賞ノンフイクション番組編集賞を受賞している。

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