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●実存主義

実存主義とは自分の主体的な生の意味を求める思想で、現代思想としての実存主義は19世紀のキルケゴールとニーチェから始まった。サルトルの実存主義は「実存は本質に先立つ」、つまり人の本質は元々備わっている訳ではなく、個々としてなりたいものになるために選択と行動を通して現実化するもので、それは「人間は自由だ」ということを表現している。サルトル“自由の哲学”は第二次世界大戦の荒廃から立ち上がり、新しい時代へと向かう希望に満ちた世界中の人々に熱狂的に受け入れられた。

●アンガージュマン

フランス語で「engagement:拘束」の意味。サルトルは実存主義を実践するために、未来に向かって現在の自己を抜け出し自覚的に自己を創造していくことを求め、さらにそれが社会や世界に対して、そして人類の未来に対して責任を負う「社会参加」「政治参加」という意味で、アンガージュマンの概念を提示した。

●「現代」

「レ・タン・モデルヌ(Les Temps Modernes)」のこと。1945年にサルトルによって創刊された政治、文学、哲学の雑誌で、現在も続いている。“アンガージュマン”をスローガンとして掲げる。

●「第二の性」

1949年6月にボーヴォワールが著わした女性論。男性の保護下に置かれ搾取される“女性”という、男性に次ぐ“第二の性”である存在を様々な例を挙げて論証している。特に「女は女として生まれるのではない。女になるのだ」、つまり女性らしさとは後から社会的に要請されるもので、「女は女らしく」という世の中の風潮に疑問を投げかける言葉は、現代のジェンダー論やフェミニズム運動の出発点となり、そのシンボルとして語り継がれている。

●ガリマール出版

アンドレ・ジッドがガストン・ガリマールら編集同人と1911年に創立したフランスを代表する出版社の一つ。戦前戦後を通して世界に名だたる作家たちの作品を扱い、日本でも谷崎潤一郎、三島由紀夫、大江健三郎、安部公房と錚々たる作家たちが名を連ねている。サルトルとボーヴォワールの多くの作品も出版されている。