歌手

※名前後ろの★印はすでに惜しまれつつこの世を去った方々
アルベルト・ポデスタ

アルベルト・ポデスタ

1924年サン・フアン州生まれ。歌手。1939年ミゲル・カロー楽団の専属としてデビュー、1942年からカルロス・ディ・サルリ、1943年からペドロ・ラウレンス、1945年からはフランチーニ=ポンティエル楽団と一流楽団を渡り歩き、その後ソロ歌手として独立、1950年代からしばしば南米コロンビアに長く滞在し活躍、同国で最も人気あるタンゴ歌手となっている。現在最も長い芸歴を持つ男性歌手である。ヒット曲に「ペルカル」「心のときめき」「ボエミオの魂」などがあり、彼の作品「おもちゃのバザー」も広く知られている。
CD収録曲/「ペルカル」

オスカル・フェラーリ ★

オスカル・フェラーリ ★

1924年ブエノスアイレス生まれ。歌手。1945年アルフレド・ゴビ楽団でデビュー、兵役によるブランクの後、エドガルド・ドナート楽団、アストル・ピアソラ楽団を経て1949年ホセ・バッソ楽団に参加、甘くしなやかな歌声で人気を得る。1956年からアルマンド・ポンティエル楽団に移り活躍、以後ソロ歌手として活動してきた。ヒット曲は生涯に8回も録音したという「ベンガンサ」であり、他に「ガジェギータ」、「セラ・ウナ・ノーチェ」などのヒットがある。2008年8月に世を去った。

「(1960年代の危機的な時代に)内陸の方のひどいキャバレーで演奏しながら、2〜3ヶ月のツアーに出ていたよ。ほとんどが木造のキャバレーで、ストリッパーやコメディアンやマジシャンもいた。夜タンゴを歌う以外はすることがなかったから、その時から作曲を始めたんだ。でもタンゴ歌手という仕事をすることで人生を楽しむことが出来た。女性についても、あまり多くはいえないが、大体うまくいっていた。人生の勝ち負けや引き分けを経験した。うまくいかないときは痛みと怒りに一人で耐えたものだ。」
CD収録曲/「セラ・ウナ・ノーチェ」

フアン・カルロス・ゴドイ

フアン・カルロス・ゴドイ

1922年ブエノスアイレス州生まれ。歌手。偉大なタンゴ歌手エドムンド・リベーロの歌を聞いて歌手になる決心をし、1950年にプロデビュー、リカルド・タントゥリなどいくつかの楽団を経て1957年からアルフレド・デ・アンジェリス楽団の専属となり、一躍有名になる。明るい軽妙な下町調の曲や、専属歌手2名によるドゥオのスタイルを得意とした。1963年にデ・アンジェリス楽団の南米コロンビア公演に参加し大成功したため、同地での人気は非常に高く、1990年代までコロンビアを活動拠点としていた。本作にもあらわれているように熱狂的な競馬ファンでもある。

「(アルゼンチンに戻って来た時)タンゴのおかれた状況をみて私はもう歌いたくなかった。火曜日はラ・プラタ、水曜日はサン・イシドロ、木曜日は再びラ・プラタ、金曜日はパレルモ、と競馬場を渡り歩いて競馬三昧だったよ。」
CD収録曲/「悩める魂」(クリストバル・レペットとの二重唱)

ビルヒニア・ルーケ

ビルヒニア・ルーケ

1927年ブエノスアイレス生まれ。歌手・女優。10代後半から映画に出演、またタンゴ王フランシスコ・カナロの劇場公演にも参加した。スペイン歌謡等も得意にしていたが、女性タンゴ歌手のパイオニア、晩年のアスセナ・マイサニから「タンゴだけを歌いなさい」と言われ、以後タンゴ歌手の道を歩む。そのマイサニの代表作「ブエノスアイレスの歌」は彼女の十八番となっている。テレビや映画、タンゲリーアにも出演し続け、本国での知名度は高い。1987年には初めて日本でも公演。情感あふれる独特の歌いまわしにはファンが多い。

「私は家がとても好き。夜中の1時に帰って、温かい飲み物をいれ、リラックスする。ときにテレビをつけ、私の映画をやっていたらそれを見たりする。幸せな気分になるわ。でも映画は私の一番の情熱ではなかったの。私の一番の情熱は舞台だわ。」
CD収録曲/「ブエノスアイレスの歌」

ラグリマ・リオス ★

ラグリマ・リオス ★

1924年モンテビデオ生まれ。歌手。ウルグアイの首都モンテビデオのアフリカ系住民が多く住む貧しい地区で生まれ、小さい時から歌に親しみ、1945年からプロとして活動を始める。作曲家として著名なアルベルト・マストラからラグリマ・リオス(それぞれ「涙」「川」の意)の芸名をもらう。その後ラジオのコンクールで優勝、1950年代末はアフリカ系4人によるアカペラグループ「ブリンディス・デ・サラス」で活躍。1960年代からはタンゴとカンドンベ(ウルグアイのアフリカ系音楽)の歌い手として欧州での公演も行い、1980年代にはスペインに3年間滞在した。

1972年アルバム「タンゴの黒真珠」を制作、タンゴ界唯一のアフリカ系の女性歌手として知られるようになる。1990年代後半から再び活動を活発化し、数枚のアルバムを発表している。ウルグアイのアフリカ系文化を擁護する団体「ムンド・アフロ」の会長を10年以上にわたってつとめた。2006年11月モンテビデオで世を去った。
CD収録曲/「古いギター」(伴奏:アニバル・アリアス)、「二人のための天国」(グスタボ・サンタオラージャとの二重唱)

文責:西村 秀人
ピアノ バンドネオン
ギター バイオリン
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